KDDI版iPhone 4Sには、いわゆるレベル2ロック(L2ロック)がありません。キャリアロックのみ施されているため、KDDIの発行しているマイクロタイプのR-UIMカード(※CDMA 2000方式における〝SIMカード〟は『R-UIMカード』と呼称されます。以下同)であれば他機種や他のKDDI版iPhoneとカードを挿し替えて使い回すことが可能です。
auショップではiPhone 4Sを持ち込んでの新規契約や機種変更を認めていないようですので、ここで紹介する手法は、あくまでも「プールに水没させちゃったけど保証ないし全損だしヤフオクでアイホン落とすかぁ」などと言った、ある種の奇特な人が使用できる手段です。
KDDIにはいわゆる〝赤ロム〟という概念が現段階では存在しませんから、前オーナーが割賦残債を支払わなかった端末などを掴んでしまっても(今のところは)即座に端末が使用できなくなることがありません。
このため、同じキャリア版iPhone 4SでもKDDI版は中古相場が安価な傾向が続き、SoftBank版との比較では相場に1万円程度の開きがありました(※2月中旬にどちらの方式でも相次いでアンロックが実現され、相場は両社版とも上昇しつつ近づいています=KDDI版は高騰気味)。
一時期に至っては64GB版が3万円を切る水準だったこともあり、ちょっと大きくてカメラ代わりにも使えるiPod touchとしても人気だったようです(このような商品でアクティベーション時も安心ですね!)。
では、マイクロでない通常サイズのR-UIMカードだった場合はどうでしょうか。──という検証は、噂レベルでは〝可能〟という話があるのですが、なかなかまとまったエントリやWikiなどを見かけません。そこで、以前のエントリに引き続き、R-UIMカードをカットした上で検証を行ってみました。
他機種のR-UIMカードを挿す動機
いわゆるガラケー契約では端末代金一括精算によってユニバーサル手数料のみの〝5円維持〟ができたり、学割や毎月割などを併用することで無料通話付きプランかつパケット料金上限まで使っても2,000円台前半で維持することができるなど、KDDIのプランにはいくつもの〝抜け道〟があります。
CDMA 2000には(GSM/W-CDMAのような)APNという概念がないため、契約条件と合致しないパケット接続要求を交換局側で拒否するような実装が容易に行えません(※ICCIDとMEIDの合致などをルックアップできなくもないですが、接続要求のたびにネットワークへ高いコストがかかって現実的でありません)。このため、他の端末の契約条件のままiPhoneでパケット通信が利用できてしまいます。
また、iPhoneからのSMS送信での〝#5000〟などのコマンドがiPhone契約以外(※KDDIにはこのような限定契約プランも厳密には存在しません)のR-UIMカードでも発信できてしまう(※Android端末などでは送信できない)ため、EZwebへのメール(キャリアメール)をIMAPで送受信するための接続情報やプロファイルをSMSコマンド送受信によって受け取ることができてしまいます。
つまり、キャリアメールの送受信や通常のWeb利用などの通信を他社Wi-Fiルーターなどに逃がしつつ無料通話・通信や最低料金維持の恩恵を受けたり、契約要件は前端末のそのままiPhone向けのみのとして提供されている『au Wi-Fi SPOT』の無料キャンペーンといったサービスを利用することができてしまいます。
そして、それを実現するためにはR-UIMカードをカットしてiPhone本体に収めるしか方法がない、という話です。
Android端末を買ったけど使いにくかった・ガラケーは飽きたけど他のauのスマホはちょっと…… という方々にも、端末本体さえ調達できるのであれば検討のしがいはある方法だと思います(※いったんはiPhoneを契約する前提=今後の審査要件が変更される可能性を考慮しない場合=であれば、そもそもiPhoneの本体価格が64GBでも一括29,800円などに落ちてきており、キャッシュバックを30,000円以上としている代理店もあるため、キャッシュバックでiPhone回線の解約違約金まで精算できる可能性すらあります)。
KDDIにおけるR-UIMカードの種別
KDDIにおいては、大きく分けて〝ver.001〟および〝ver.002〟と呼ばれる、2種類のR-UIMカードが存在します。これは、旧800MHz帯の端末に対応しているかどうかで分かれています(ver.002は非対応)。製造元は主に、大日本印刷(DN)とアクサルト(AX)のようです。
今回の実験に際しては、iida G11契約に付属したもの(ver.001 DN)・IS01契約に付属したもの(ver.001 AX)・IS12T契約に付属したもの(ver.002 DN)を使用しています。繰り返しになりますが、契約端末でのL2ロックの有無はiPhoneでの使用に関しては関係がありません(上記で契約時にL2ロックのない端末はIS12Tのみです)。
R-UIMカードのカットにおける注意点
契約約款における貸与の扱いなどはさておき、どのタイプでも端子の一部を切り取らなければ認識できません。いわゆるSIMカッターなどで切り抜いても作成できると思いますが、思い切りよく一発で力をかけないと端子の剥離を招きます。
左から、ver.001 DN・ver.002 DN・iPhone用純正ver.002 micro AXです。
以前に紹介しているようなカット方法で、いずれのタイプも端末で認識することができました。料金プランも、現段階においては元の端末での契約内容が維持されるようです(※逆のパターン=つまりiPhone契約のR-UIMカードを他端末へ挿した場合=では、パケット定額料のキャンペーン対象外となるケースがあり、従って料金が高くなることがあります)。
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