DO NOT PAY FOR JAILBREAK YOUR DEVICE!

最近、『NTTドコモのSIMカードでLTEを使えるようにする』『ソフトバンクやKDDIで月額を払わなくてもテザリングができるように』などのフレーズで『CommCenter* patch』や各種キャリアバンドルをインストールする代行業者があるようで、たいへん多くの「どのような関係性があるのか」「無償で提供しているように見せかけてカネを取るのか」「いくら儲かるのか」といった問い合わせを受けています。

これらの悪質な業者と我々は、いっさい関係がありません。Jailbreakは無償で提供されるべきものであり、これを商用利用すべきものでもありません。 [続きを読む »]


2012年9月21日金曜日

GALAXY S III SC-06Dで(iPhone 5の)SoftBank 4G LTEを使う

iPhone 5がたいへん期待外れな代物だったので、最近はすっかりGALAXY S III SC-06Dを便利に使っています。あまりにも細かな気配りの行き届いた環境に、コピーキャットなどと馬鹿にしているだけではいけなかったのだなと思い知らされます。iPhone 4Sもとても便利な電話機です。カメラとMapsとSafariとExchange ActiveSyncが正しく美しく動くだけでもiPhone 5にはない価値を提供してくれています。

いえ、CommCenter* patchのような成果物を作らなくなるかと言えば直ちにそんなわけではないのですが、今後も 5S・6…… とこのような失態をAppleが続けるのであれば極めて厳しいですね。

SC-06D自体はドコモXi SIMのままでまったく問題はないのですが、iPhone 5に付属してきたSoftBank 4G LTE契約のnanoSIMをSIMロック解除したSC-06Dへ挿してみたら正しく動いたので、どうしてそのようなことが起きるのかも含めて、そこら辺の話を備忘録的にまとめておきます。

前提条件: SC-06DのSIMロック解除

これは、ドコモが公式に提供しているSIMロック解除サービス(3150円)でもよいですし、他のオンライン上のSIMロック解除サービス(だいたい換算2000円くらい、例1)を使用してもよいですし、もちろんご自分でEFSを解析してNVRAMのデータ上でアンロック(技量と時間、プライスレス!)しても構いません。

筆者はいちばん最後のパターンですが、端末本体にSIMロックが存在しない状態であることがまず最初に重要です。

FAQ: どうしてドコモ端末でソフトバンクのLTEが使えるの?

端末がLTEネットワークへ繋がる・繋がらないという点に関しては、SIMロックが解除されていれば、まず単純に対応周波数帯に含まれているか否かということになります。

現状の携帯電話網では音声呼をLTEネットワーク上へ(VoIPとして)流すVoLTE機構が実装されていないため、原則として音声呼を3Gネットワークへフォールバック処理できる必要があります。つまり、GSM/W-CDMA/CDMA 2000のいずれか使用ネットワークが適合していて対応周波数帯に含まれていることと、(FDD-)LTEの対応周波数帯に含まれていることの両方が必要です。

 ドコモKDDIソフトバンクイーモバイル
3G方式W-CDMACDMA 2000W-CDMAW-CDMA
3Gバンド800(BVI/BXIX)
1700(BIX)
2100(BI)
800(BC0)
2100(BC6)
900(BVIII)
2100(BI)
1700(BIX)
LTE方式FDDFDDTDD,FDDFDD
LTEバンド700(B28)
800(B19)
1500(B21)
*2100(B1)*
700(B28)
800(B18)
1500(B11)
*2100(B1)*
900(B8)
*2100(B1)*
700(B28)
*1800(B3)*

日本の主要4キャリアの3GとLTEの対応周波数帯を上にまとめました。LTEに関しては、*印で囲まれたものが2012年9月現在で実際に使用されている周波数帯です。

ここで、ドコモ・ソフトバンクはW-CDMA 2100MHz帯で共通しており、LTEの2100MHz帯はドコモ・KDDI・ソフトバンクで共通していることが分かります。なお、KDDIの3Gは一見同じ2100MHz帯ですが、通信方式がCDMA 2000と異なっているのは以前解説したとおりです。

9/27追記
『では、海外のLTE端末を持ち込んでも使えるのか?』という質問がありました。対応周波数帯に入っていれば使える、というのが今のところできる回答なのですが、現実的には厳しいかと思います。なぜなら、他にLTE バンド1を採用するキャリアは韓国・LGテレコムしかないからです。
  • GSMモデル A1428*:UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,900、2,100MHz)、GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz)、LTE(バンド4および17)
  • CDMAモデル A1429*:CDMA EV-DO Rev. AおよびRev. B(800、1,900、2,100MHz)、UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,900、2,100MHz)、GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz)、LTE(バンド1、3、5、13、25)
  • GSMモデル A1429*:UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,900、2,100MHz)、GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz)、LTE(バンド1、3、5)

上に引用したiPhone 5の技術仕様によれば、A1429モデルであれば日本ではW-CDMA=UMTSの900, 2100MHz (※今回のiPhone 5は技術仕様上では850MHz対応となっていますが、これまでとは違ってベースバンドが対応バンドを厳密に評価するようになっており、あくまでもバンドVへの対応であってドコモのバンドVI/XIXには対応しません=周波数が内包されていれば使用できていたiPhone 4Sまでとは違い、FOMAプラスエリアは使えません)とLTEのバンド1, 3が使えそうです。

先に検証した3G/LTEの対応周波数帯の共通性に加えて、今度はLTEでイーモバイルがバンド3で対応周波数帯に入っていることになります。

つまり、LTEに関しては4キャリアともiPhone 5の対応周波数帯に入っていますが、ここでフォールバック処理が関係してきます。KDDIは方式がCDMA 2000のために端末がCDMA版でなければフォールバックできず、イーモバイルはW-CDMAではあるもののバンドIXの1700MHz帯であるため、これも端末が対応していなければ(つまりiPhone 5では)フォールバックできません。

9/27追記
また、KDDIは〝eCSFB〟という拡張規格を使ってLTEから3Gへのフォールバックと、LTE接続時に3Gネットワークからの音声通話発呼処理を高速化する技術を採用しています。このため、LTEが接続可能なエリアであれば発呼にかかる時間が半分程度まで短縮されますが、音声通話を行うとLTE通信も切断されます(CDMA 2000の際と同じく、音声通話とデータ通信は両立できません)。このため、音声通話の終了時には〝原理として〟再び3GからLTEへフォールバックが行われるのですが、これをもってKDDIの代表取締役である田中氏が再三「ソフトバンクは音声通話が終了してもLTEへ復帰しない」と表現している点(参考: 1 2)は、技術レイヤーの話として間違っているので気になります。実際には、ソフトバンクも3Gによる音声通話終了後にはハンドオーバー処理が行われ、正しくLTEへ復帰します。どちらの優位性という話ではなく単純に採用した規格の違いであって、話をすり替えるべき性格のものではありません。
10/1追記
などと言っていたら、本日付でソフトバンクモバイルとイー・アクセスの経営統合が正式に発表されました。本件に関する記者会見では、ソフトバンクの代表取締役である孫氏が〝ソフトバンクモバイルのLTEとイーモバイルの3Gでの(逆のパターンもともに)フォールバックを行えるよう、W-CDMA 1700MHz帯の許認可追加申請をAppleへ要求する〟旨の発言をしています(参考: 1 2)。これが事実であり、Apple側がベースバンドでの対応を行うのであれば(※ベースバンドチップ自体はW-CDMA 1700MHz=バンドIX=にも対応しているため、単純にファームウェアの改修を行うか否かの問題)、HNIの異なる2キャリアのネットワークを跨いだフォールバック=国内ローミング=が行えるようになるということになり、両社のネットワークと製品ラインアップはかなり強化されるということにもなります。

結論としては、ドコモとソフトバンクであれば3G/LTEともに利用周波数帯が共通しているため、相互に使用できる可能性が高まります。あとは、キャリア側でネットワークへの接続要求時にIMEIやICCIDなどの個体識別番号で認証をかけていないかどうか、端末側にキャリアを識別して接続方式を制御する機構が組み込まれていないかという話になります。

ネットワークによるロックとOSによるロックについて

このようなネットワークや端末側でのロックに関しては、キャリアは仕様を公開していないため、実際に接続を試行してみなければ分かりません。少なくとも事実として接続できたということは、ソフトバンクのネットワークは現状ではそのようなロックを行っておらず、ドコモの端末にも(少なくともSC-06Dには)そのようなロックが仕込まれていないということになります。また、ソフトバンクはVodafone時代から伝統的にこのような非公式の接続要求に対して〝甘い〟印象があります(ドコモはFOMA網では他社端末への別料金制度や、ISPオプションによって他社端末の接続拒否を行っています)。

ちなみに、iPhone 5には後者の方式であるキャリアを識別するコードが含まれており、Appleが認識しているキャリア(つまり署名と認証鍵を持つオフィシャルキャリア)のうち、LTE接続が可能なキャリアをホワイトリスト方式でマーキングしています。このため、非公式キャリアであるドコモのSIMカードでは、契約内容の如何に関わらずLTE接続を行うことができません。ドコモを〝蹴っている〟のではなく、ソフトバンクやKDDIが特別な扱いです(他国では、オフィシャルキャリアでLTEサービスを行っていてもiPhoneではLTE接続できないキャリアが存在します)。

nanoSIMをmicroSIMスロットへ挿すことについて

SC-06Dは、ドコモ的な用語では〝miniUIMカード〟を採用しています。これはつまりmicroSIMですが、ソフトバンクは4G LTEサービスのSIMカードをnanoSIM(4FF)でしか供給していません。

このため、何らかの形で変換するか、そのまま位置を合わせて挿入する必要があります。後者でもよいのですが、最近はnanoSIMアダプタが出回っていますので、ちょっと形状を加工して流用しましょう。

SC-06DのSIMスロットは(高級な)ボールベアリングタイプではなく(一般的な)ピンタイプなので、アダプタの挿抜時に引っかかってピンが折れる危険性があります。ですので、一度アダプタを挿入したらできる限りそのままのほうがよいと思います。

このように下側を切ったnanoSIMアダプタであれば、SC-06DのSIMスロットに突っ込んだままSIMカードの出し入れをすることもできます(ドコモSIMも切ってしまえばよいのです)。

SC-06DにおけるソフトバンクSIMの認識

アンロックが正しく行われていれば、ソフトバンクのどのタイプのSIMでも正常に認識されます。APN設定を行えばパケット通信も可能です(定額になるか云々、高額請求が来ないか云々という観点はひとまず別です)。

LTE接続を行うにはもちろんSIMカードが4G LTE契約であることが必要です。何度も述べているとおり、今回はiPhone 5から外したものを使っています。

GALAXY S IIIはiPhoneと違って、電源が入った状態でSIMを差し替えても認識しないので、一度電源を切ってからSIMカードを挿入する必要があります。

パケット通信のためにAPNをきちんと設定すれば、このように通信インジケータがLTEを示すようになります。

APNの情報ですが、この jpspir について直接的に書くわけにもいかないので、上の画像を参考にしつつ、Appleが配布している Softbank_jp_iPhone.ipcc (ZIPファイル)の中身をどうにかするとよいのではないでしょうか。

9/27追記
これもよく問い合わせがある項目ですが、最低限のマナーとしてパスワードを直接的に書いていません(ここは中国でもないので、そういう意識の低いことはやめましょう)。

ヒント: スピードテストやiPhone 5への既存SIM差し替えについて

ここからはあってもなくてもいいような参考情報だと思います。

iPhone 5ではどんなに頑張っても下り12Mbpsくらいしか出せないのですが、同じ場所でSIMを差し替えてGALAXY S IIIでは20Mbpsを楽に超えます。

また、iPhone 5でLTEを掴めない場所でもGALAXY S IIIならLTE接続になるので、iPhone 5のアンテナ能力はそれほど高くはないようです。逆に、SC-06DはW-CDMA 900MHz帯の〝プラチナバンド〟には対応していないため、ソフトバンク側の基地局敷設が順調に進行していけば、電波の受信感度に関してソフトバンク端末と有意な差を感じるようになると思います。

バッテリーの持ち時間について質問を受けたのですが、GALAXY S IIIはバッテリー容量が2100mAhと大きいこともあって、普通に空き時間にインターネットをしていてもだいたい丸一日は持ちます(少なくとも体感としてはiPhone 4Sの3割増くらい)。LCDの明るさを抑えることと、省電力モードを有効にすることの2点がだいぶ効くように感じます。

なお、SC-06DはWi-Fiテザリング機能を持っていますが、これはドコモ spモード/moperaU契約時のみ使えるAPNに設定されていて、これを変更するためには端末のroot権限を奪取後にシステムのフレームワークなどを書き換えなくてはなりません。

また、MMSの送受信に関してもフレームワークから機能が削られているため、当該部分を丸ごと追加するような MMS.apk を導入するなどで対応するしかありません。

他に解説しているサイトが多数あると思いますので、テザリングやMMSを使用したい方はGoogle検索などを参考にしてみてください。

ちなみに、iPhone 5本体はあってLTE契約のSIMがなく(古い)iPhone契約のSIMしか持っていなくても(つまり白ロムの購入時など)、 Softbank_jp_iPhone.ipcc の中から overrides_N41_N42.* なファイルを消してからインストールすると、iPhone側で新しいAPNが読み込まれなくなるため、このように smile.world APNに接続してパケット通信やMMS送受信を行うことも可能です(iTunesをcarrier test modeにしましょう)。

9/27追記
N41/N42という型番に関してはプロトタイプの型番ではなく、単純にA1428(GSM)とA1429(GSM)/A1429(CDMA)に対応しています。iPhone 4Sと違い、iPhone 5はいわゆる〝ワールドフォン〟ではありません。ハードウェアとしてキャリア専用カスタマイズの入ったA1428が存在します。

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