『GOOAPPLE 3G』については、話題性がいくらあっても一般的に〝スポンサーの意向〟に触れてしまう内容なので、たぶんだれも深いことまで書かないと思います。誌面では間違いなく掲載拒否を食らうラインです。そういうわけで、ここで詳しく展開することにしました。
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記事を公開してから、いくつか質問を受けました。代表的なものに回答します。 (8/22追記)
- どこまでがネタなのか? ネタではない証左は?
- このエントリに関して、いわゆる〝ねつ造画像〟というものは作成していません。『GOOAPPLE 3G』は本当に中国国内で製造・出荷され、世界に販売されている〝商品〟です。これがネタなのであれば、その存在から含めてすべてがネタなのでしょう。ネタでないことについては、このエントリの後編にあたる〝分解・改造編〟を参照して判断していただきたいと思います(ネタのために積層基板を起こしたりApple純正部品を分解するほどのヒマは……)。
- どこで買えるのか?
- 中国では『淘宝』(Taobao)にて販売されている様子がインターネット上からも確認できます。TaobaoとYahoo! Japanが提携して『Yahoo! チャイナモール』というサービスを展開していますので、そちらから購入できるケースもあるかもしれません。日本国内においても、通信販売を行う店舗や過去には秋葉原の店頭で販売されたことがあるようです。価格的には1500元前後が2011年8月現在における相場のようですので、日本円で2万円を切っていれば買いなのではないでしょうか。
- Apple製品のコピー商品の存在についてどう思うか?
- 中国という市場はそういうものだと思います。過去には〝SK-168〟と呼ばれる、これもiPhone 4によく似たコピー商品が話題となりました(他にも無数に存在します)。また、少なくとも『GOOAPPLE 3G』については真正品のパーツを流用したり単純に(型取り)コピーしたわけではなく、図面解析による三次元CADとNC加工によって新たに型を起こしている痕跡が見られます(内部的には形状が違っており、ほぼ99%パーツの流用がありません)。中国の技術レベルがそれだけ向上しているということでもありますし、このような完全なコピーのリスクはApple製品だけにはとどまらないのではないでしょうか。
- 電気通信事業法(以下略)
- 乙。
- 電波法(以下略)
- 煽り乙。
GOOAPPLE 3Gに触れていて、とても懐かしい〝謎パー〟という単語を思い出しました。あれも当時は微妙な扱いの商品でした。
〝謎パー〟という言葉をご存じの世代はきっと少なくともアラサー世代で、TidalwaveやHP 200LX、OASYS Pocketなどといった端末を自由闊達にハックしていた人たちではないかと思います。
時は流れて〝謎パー〟的な端末は今や山寨機に置き換わり、日本の市場においてはAndroidがメーカーの自由気ままな改造によって非互換度合いがどんどん高まって、世界から取り残されたたくさんのガラドロイドを産み出しています。
謎パーを産み出した原動力は、主流である環境をなるべくコンパクトに、見た目よく外に持ち出したいという欲求だったと思います。当時はそれが、フルキーボードを持ち横80字*縦20行の表示が出来る程度のスクリーンを持つPCだったというだけの話です。
現代においてはPCが生活の中に占める重要度は下がり、手のひらに収まるサイズの携帯端末でも画面を必要とする作業の大半がまかなえるようになりました。
筆者にとって最後の謎パーは『mbook M1』で、この役割はほぼ『iPad 2』に移行されつつあります。sshやRDPでまかなえることが多くなり、外出先でフル機能のPCがある必要性というのがほとんどなくなってしまいました。
ユーザーが従来型の携帯電話(ほとんどはSymbian OSや組み込みLinuxによるもの)のひととおりの機能に飽きたところでiPhoneが発表され、みんながiPhoneのような端末を欲するようになりました。
そのプロプライエタリさや(キャリアにとっては)厳しい導入要件などからすべてのキャリアがiPhoneを発売するわけにもいかず、そこへオープンソース開発によるAndroid OSをベースにGoogleやキャリアのカスタマイズアプリケーションを導入したAndroid端末という形態がマッチして多数産み出され、今のように非互換性に日々泣かされる開発者や、著しく収益性の上がらないサービスを提供し続けなければならないコンテンツプロバイダの悲劇を引き起こしました。
ところで元来、Android OSは組み込み向けOSです。出荷にあたってUIを変えることもアプリケーションを追加することも、何の規制もありません。電話やタブレットである必要もありません。直接的なGUIを持たないNTT東日本/西日本の提供する『光ポータブル』などもAndroid端末の一種です。
同じNTTドコモから販売されているGalaxy S IIとMEDIAS WPを使っていても、「えっNだとここ押せば出来るのに!」「サムスンって外国でしょ? なんか違うんじゃないのー」という会話がまことしやかに喫茶店で交わされる時代となりました。これからもSymbianとμLinuxのような違いを提供し続けてくれることでしょう。
さて、世界を見渡せば〝iPhoneのデザインを模倣した〟としてSamsungがAppleに訴えられたり、iPhoneが長いライセンス条文の中で同意を得たとして収集していた端末の位置情報が、Androidでは同意を得ずに収集どころかGoogleのサーバーに送信までしていたなどと、きな臭い雰囲気は漂うもののAndroid端末はiPhoneの後追いをするように売れています。
いつか出るのだろうと思われていたiPhoneそっくりという風体の端末はこれまでにもいくつか(主に中国市場で)リリースされてきましたが、〝3Gに対応して外見(ハードウェア)も中身(ソフトウェア)もそっくり〟という史上最強(最低?)のコピー商品が、今回紹介する『GOOAPPLE 3G』(谷果3G手机)です。単なるコピー商品でなく、Android OSを〝正しい組み込みOS〟として利用している点も特筆すべきだと思います。