DO NOT PAY FOR JAILBREAK YOUR DEVICE!

最近、『NTTドコモのSIMカードでLTEを使えるようにする』『ソフトバンクやKDDIで月額を払わなくてもテザリングができるように』などのフレーズで『CommCenter* patch』や各種キャリアバンドルをインストールする代行業者があるようで、たいへん多くの「どのような関係性があるのか」「無償で提供しているように見せかけてカネを取るのか」「いくら儲かるのか」といった問い合わせを受けています。

これらの悪質な業者と我々は、いっさい関係がありません。Jailbreakは無償で提供されるべきものであり、これを商用利用すべきものでもありません。 [続きを読む »]


2011年12月24日土曜日

MacBook Air (Late 2010)が出火した

年の瀬迫るクリスマスイブ、皆様が充実したときをお過ごしの中、筆者のMacBook Air 11 (Late 2010)はLCDインバータ付近より出火しました。

あらかじめ書き添えておきますが、この問題は既にAppleより誠意ある対応をしていただいて解決済みの事項であり、問題を再燃させたいという趣旨のものではありません。

同様の事例はそれほど多いものとも考えられず、当該端末固有の事象であると思いますが、その後の対応の話に関してはインターネット上にもそれほど見当たないため、後の参考のための記録として公開します。

障害の長い前兆

11インチが増えて新しくなったLate 2010以降のMacBook Airは画面出力が乱れる不具合が有名ですが、筆者の手元の端末もその多分に漏れずコールドスリープ(ACPIでのS4ステート、メモリの内容をストレージに待避して電源を切るいわゆるStandby to Disk状態)からの復帰後は画面出力が乱れる問題を抱えていました。

画面が乱れている場合は、command-shift-3などによる画面キャプチャでも乱れた状態で取り込まれるため、VRAMからの出力段階で画面が壊れていると考えられます(※MacBook AirはVRAMとして主記憶RAMの一部を使用するいわゆる統合GPUですが、この主記憶RAMである内蔵DDR3メモリ自体にエラーがないことはmemtest86などで確認できます)。

この問題、Apple Storeへ持ち込んでも「MacBook Airではよくある現象だし、ロジックボード交換しても製品交換しても再発することがあるので……」とGeniusも修理対応には及び腰。

製品不良ならしっかり直してほしいと思わないでもないのですが、実際問題として手元の端末はコールドスリープしなければ問題なく、コールドスリープから復帰後に再起動すれば画面の乱れはなくなるので、一手間さえかければ実用上では問題がありませんでした。

また、この機材が厳密には筆者個人のものでなく会社のものであるということも、修理対応についての情熱を強く持てない一因であったと思います。〝どうせ壊れたら会社が補填してくれるだろう〟、そのような気持ちがありました。

これが現象の度合いが一歩進んで、スリープからの復帰時にLCDが点灯しなくなる現象を起こすようになっても〝Lionで増えた不具合と同じ〟(参考: https://discussionsjapan.apple.com/thread/10095980 など)ということで、どうせ修理はしてくれないだろうと放置していました。

メイン機の障害と同時多発的な症状進行

これとは別件で、メイン機であったMacBook Pro 13 (Mid 2010)が度重なるストレージの論理障害を起こしていて、OSを入れ替えてもHDD/SSDを入れ替えても回避できず、新しいストレージの利用開始後おおむね3日以内に必ずディスクの内容を破壊し尽くすという現象に辟易してこの端末を手放したため、MacBook Air 11をメイン機へ昇格させざるを得なくなりました。

そして、そのMacBook Pro 13を手放したその日、今度はMacBook Air 11の画面が高度に白飛びしてハイコントラストな表示になる不具合を起こしました。もう、画面の内容がほとんど読めない状態です。

ここまで来ると明らかに故障ですが、MacBook Pro 13とMacBook Air 11の同時多発的な不具合によって積み重なった様々な業務の期限も差し迫っているし、どうしようもないのでとりあえず安価なMacBook Air 11をもう1台買い足して当座をしのぐことにします。問題を起こしているMacBook Air 11と同じ世代である、Late 2010の中古です。以降、こちらのLate 2010を便宜上 (新) で表記します。

そして出火へ……

そして運命の12月24日、何かチリチリというような音が聞こえるなと思いながらも、背水の陣でMacBook Air 11(旧)からMacBook Air 11(新)へデータ移行を終えたあたりで問題が発生しました。

ちょっと目を離している隙に、何か焦げくさいような臭い…… ふと横を見ると視界に入ったMacBook Air(旧)が白煙を上げています!

慌ててそこらにあったタオルで覆うものももうLCDのベゼル部分が熱々。煙は止まったものの、バキンと音を立てながらベゼルが剥がれ落ちました。インバータ様の基板に圧着されたフレックスから出火した痕跡が見えます。

PCが出火した場合、よく「電源を抜いて消火し、安全な場所に放置しましょう」などと言いますが、あとあとよく考えてみればMacBook Airのようなバッテリー内蔵型の場合はバッテリーを取り外すことが出来ない以上、荷電を完全に解消させることは不可能です。

そのようなことをすっかり失念してフタを閉じ、安全っぽい場所に置いておくと、今度は「バチバチッ」と言ったあとバンッと音を立てて筐体が飛び上がるのが視界の片隅に見えました。またも変わらず白煙を噴いています。

もうこれはダメだろうと判断してコップの水をかけて消火することでことなきことを得ました。今度はキーボードの一部まで焼けて溶け、LCDベゼルに加えてLCDの前面保護パネル(?)まで剥がれ落ちています。

迷った結果として念のため消防に電話すると、これくらいのボヤであれば(※あくまでも電話で聞く限りは)再出火させない限りは通報はしなくともよいとのことなので、出火しても被害が少なく目の届きやすいベランダなどに出しておくとよい、電気火災はショートすると危険だがショートしきっていれば荷電が発生しない、とのアドバイスに従って追加の水をかけてベランダに出しました。幸いなことに、それ以降の再出火はありませんでした。

後日談

その後の対応の話です。

〝PCが出火した〟、〝Apple製品が出火した〟、という話はときたま『Engadget』や『Gizmodo』といったWebサイトに掲載され(※参考: 1 2 3)、たいていが電源事情がお世辞にもよくなさそうな国や状況下で発生していることもあって、日本に住み、しかも身の回りでPCが出火していない我々にとっては遠い世界のお話です。筆者にとっても遠く高笑いの出来事でしかありませんでした。

その後のお話は彼らもフォローアップしてくれませんし、誰もエントリに仕立て上げようとしないからかインターネット検索も無力です。

TwitterやFacebookといったソーシャルネットワークにおいても、基本的には〝メーカーや販売元に相談しよう〟と言った月並みなアドバイスが多く、またApple社員の方からもそのような助言をいただいたことで、Genius Barへ持って行くことにしました(※筆者とAppleおよびGenius Barとの相性の悪さは過去エントリで既報のとおりです)。

出火した後始末として、MacBook Air 11(旧)は水浸しです。まるで水洗いした野菜かのように水を切ってビニール袋に入れての戦後処理です。

Genius Barではもう既に〝出火したMacBook Airが存在していて、今日ここに持ち込まれる〟ということを把握していて、いたってスムーズに交換の手続きが進みました。

交換に際して、現行品であるMacBook Air 11 Mid 2011へ交換されますが、Late 2010と比べるとよくなる点も悪くなる点もあって、たとえばグラフィックがnVidia GeForce 320からIntel HD Graphics 3000へランクダウンします。また、筆者は端末を仮想マシンを利用した開発用途に使用していますが、この際にCore 2 DuoではMacBook Airのモデルを問わず存在したVT-dがCore i7モデルのみでのサポートとなり、Core i5モデルではサポートされません。

このあたりの事情を鑑み、元々がBTOモデル(Core 2 Duo 1.6GHz/4GB/128GB/US keyboard)であったこともあって、Core i7 1.8GHz/4GB/256GB/US KeyboardのBTOモデルへと交換されました。

出火して他に被害があった場合はAppleへ弁済を求めることも可能(※実地調査が必要)ですが、今回の被害はルミナスのアクリルボードが熱で若干損傷した程度で安価なため、こちらについては特に手続きしていません(BTOモデルとして、SSDの容量が倍加したことで精算できているとの考えから)。

そもそもが万が一にも出火するような製品を設計する段階でいわゆる〝神対応〟だとは言えないと思いますが、交換に際してのAppleの動きは迅速で対処も明確であり、出火による不信感と事後処理における好感という点では、充分に相殺できると思います。

本来であれば、基板上の異常な電流を検知して送電をカットするといった機構はとても原始的で安価に実装できるものなので、コストダウンした成果として新しいMacBook Airが生まれたからといって、コストダウンの結果としてこのようなフェイルセーフ機構までカットしないでほしいですね。

一連の障害から得た教訓

万全なデータのバックアップと環境をシンプルに構成することさえ心がけていれば、万が一環境を失っても再構築は最小限の手間で済みますが、今回の度重なるトラブルでMicrosoft Office 2011 for Macのライセンス認証が上限回数(20回程度?)を超過してしまい、逐一電話でオペレータと通話しなければ通らなくなったのは面倒です。この再構築自体の時間も馬鹿になりません。

また、これは主にMacBook Pro 13のほうの障害によって引き起こされた事態ですが、ディスク障害が起こっている状態だと、オンラインストレージに壊れたデータが複数回同期されてしまい、バックアップを古くまで辿っても壊れているものしか復元できない、ということがありました。ある程度は手動で、確実なものを手元に保存しておかないと頼り切りでは死ぬな、ということを実感しました。

元々はWindows PC/ワークステーションを開発・製造する大手メーカーに在籍していた筆者ではありますが、籍のあった研究開発部門では主にMac/FreeBSDを使用しておりWindowsから離れていた期間も長く、現職においてもほぼMacしか使用していないため、障害発生期間中にバックアップ機とした端末のWindows 7とはとうとう最後まで仲良くなることができず、ストレスのある時期こそ慣れ親しんだ環境でないとならないのだなと思いました。

しかし、MacBook Air 11は本来であればMacBook Pro 13のバックアップ機であったため、両方が同時多発的に障害を起こすことは想定をしておらず、3台も同一メーカーで対障害体勢を構築しても結局はこのメーカーであれば障害を起こすのではないかとも思い、複雑な心境です。OSX86によらない正規手段としての、Mac OS Xの他社PCへの解放が望まれます。

新しいMacBook Air (Mid 2011)についての感想

ところで筆者にとって通算5台目のMacBook Airとなる、MacBook Air 11 Mid 2011の感想としては、VMwareによる仮想マシンが劇的に速くなり、キーボードが光るようになったものの発熱は多くパームレストが冬場でもじっとりと汗ばみ、ついでにバッテリー稼働時間が2時間ほど減ったな、という感じです。

実使用環境下における実用性としては、やはりLate 2010がバランスよく、適度なパフォーマンスでバッテリーも長持ちというモバイル機器としての本質をよく体現していたなと思います。

また、この筐体においてはコールドスリープから復帰時の画面乱れとスリープから復帰時の画面非点灯という問題は最初から発生していて、MacBook Air 11における根深い問題であることを窺わせます。今度は出火しないとよいですね。

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