おおかたの予想どおりのスペックで、『iPhone 4S』が発表されました。端末自体については、ある程度正確な情報に触れられる立場にあったため特に感慨はないのですが、ローレベルな携帯電話ネットワーク周りのハッカーとして、報道ではあまり詳しく掘り下げられなさそうな部分について触れておこうと思います。
iPhone 4Sのデザインについて
〝iPhone 4と比べてミドルフレームのデザインが変わった〟というのは厳密には正しくなく、ミドルフレームの絶縁体の位置に関しては既にVerizon版のiPhone 4で採用されていたデザインであり、これはCDMA 2000が規格としてクロスしたダイバシティアンテナを要求するために設計変更されたものです。
これによってiPhone 4のケースが使用できなくなるという説がありますが、いわゆるGSM版iPhone 4(W-CDMA版を含む)専用で〝タイトに〟設計されたケースはサイレントスイッチの位置が異なるために使用できなくなるというのが正しいです。米国などで設計されたケースであれば、この開口部が大きく設けられていて両対応になっていることが多いです。
CDMA 2000の仕様について
CDMA 2000には、規格上〝SIMカード〟という概念がありません。KDDIはauブランドの携帯電話に、SIMカードにとてもよく似た『R-UIMカード』を採用しており、またほぼ同一のCDMA 2000向け規格として『CSIMカード』というものが存在しますが(両者の大きな違いはGSMネットワークの対応可否)、これは(GSM/W-CDMAにおけるSIMカードの主な役割である)契約者情報の管理というよりも、コンテンツの権利検証・復号鍵としての意味合いが強い(つまり日本のTVにおけるB-CASカードに近い)ものです。